オレンジレッスン

「オレンジレッスン」という本を、昨日読み終えたので、ちょっと紹介しましょう。
オレンジレッスン。―あなたはどんどん幸せに成功する!
オレンジレッスン。―あなたはどんどん幸せに成功する!
この本は、幸せと成功のどちらをも手に入れるための「成功小説」です。
犬飼ターボさんの本は「CHANCE」CHANCE<チャンス>を前に読んでいて、この本が二冊目。

人によると思うのですが、僕にとってはタイミング的にもとてもしっくりくる内容でした。

ただ、深い事をあっさり書いてあったり、逆に小説として成立させるために特殊な事例が出ていたりと、正直読み手を選ぶ本だとは思います。
深いところを読み取れない人には「通り一遍のことしか書いてない」と感じるかもしれませんし、本当に深いところまで理解している人だと「説明が浅くて読み応えがない」と思うかもしれない。

それでも僕としては、多分いま一番必要としている知識が提示されていたのか、すんなり読めたんですね。

この小説は、あくまでビジネスや人生における「成功」についてのノウハウとか、誰もが通る失敗の道などをストーリー仕立てにして、わかりやすく紹介している書籍です。なので、小説としてはドロドロしたところが少なくて、主人公が悩んだときに「先生」が的確にレッスンしてくれるという実に緊張感のないドラマになっています。

でも、そこがこの本の良いところでもあります。ドロドロしたところにはまりこんでしまう前に抜け出す道が書いてあるとも言えるわけですから。

この本で紹介されている「心」の問題は、ものすごく単純で、人間には攻撃的で男性的な側面と、受動的で女性的な側面の2つがあって、それがそれぞれに「良い」働きをする時と「悪い」働きをすることがある、という考え方で整理しています。

男性的な力の良い面を「マーズ」、悪い面を「がまん」と名付けていて、じつはこの名付け方が見事なんだ、という小説ですね。
女性的な力は、「ヴィーナス」と「くっつき」。

攻撃的な力は、得てして「受け入れる」という女性的な側面を否定しがちで、それは自分の内面を感じ取る女性的感覚の否定になりがちだ、という事がありまして、マーズが勝ちすぎると、自分の内面を否定して「がまん」になってしまうと。これはよろしくないと。

逆に受動的な力は、得てして「自ら働きかける」という男性的な外へ向かう力を否定しがちで、それは自分の希望を伝えたり実現したりすることを否定する発想になりがちだ、という話。なのでヴィーナスが勝ちすぎると、自分の自己表現・主張ができなくなって、他者に依存したような態度「くっつき」になりがちなのだ、というお話しです。

まぁ、書いてしまえば、この本で紹介されているのは、ただそれだけなんです。ただそれだけなんだけど、ストーリー仕立てになってるので、主人公の「気分」と同調しながら、こういう知識を学べるので、自分の事として読めるし、自分の内面への気づきもしやすい仕組みになってるんですね。

小説の全体構成自体が数回にわたる、成功ノウハウ習得セミナーの体験者たちの物語という形になっているので、「紙上体験レッスン」的要素は、よりいっそう強くなります。小説の主人公や登場人物といっしょに、自分も同じセミナーを受けている感覚で読めるというところが、この本のおもしろいところですね。

作者の思惑通りにはまってしまったのか、僕としては、やたらとジーンとして涙が出てくるところが多々ありました。
でもそれは実は、主人公たちが受けているレッスンを、自分も自分の立場に置き換えて、自分の内面を自分なりに感じ取るという作業を僕がしたからなんですね。
なので、そういう主体的に自分もレッスンを受けてみるぞ、という気持ちになれない人は、読んでも全然おもしろくないと思います。

そういう意味では読者を選ぶ本ですが、僕としては、とても好きな本ですね。
これはなかなか良い本だと思いますので、ここを読んでる方は機会があればぜひ読んでみていただきたいと思います。

ではでは。