リスクを知ること。心を知ること。

今日はちょっと、よその日記に書いた日記の転載ネタです。申し訳ない。


ちょっとリスク工学について書いておきます。

物事には危険というものがあります。だから、危険というものがいったいどの程度危険で、どの危険に対してどの程度対応策を取っておくのが「適正値」であるかを考えるのがリスク工学というものです。

もともとは、たぶん金融の世界から出てきたものなんだと思うのですが、投資をするに対して、その「危険」の発生率が50%のものと、0.0005%のものとがあれば、どちらに力を入れるべきかという、そういう判断基準を考える考え方です。

こういう具合に比較で出せば、そりゃ誰だって「50%の方に力を入れろ」という事になるんですが、でも実際の例では意外にも0.0005%の方にばかり力を入れるという事が起きてしまうものなのです。

たとえば、例の狂牛病BSE騒動などが、その良い例です。狂牛病の発症者は、牛の脳や脊髄、目玉など、特定部位を食べた人からの発症率が90%台だったはずで、おそらくは、ほぼ、この特定部位からの「感染」が経路であろうと推測されるのですね。

だから、この特定部位を除去していれば、まず狂牛病にはならない。

でも、日本においては全頭検査と言って、「すべての牛をチェックせよ!」というのがまるで絶対的安全手法であるかのように語られているわけです。

いや、あのね、全頭検査しても、特定部位の除去をしてなきゃダメだよってことです。こまかい話は抜きますが、検査方法自体が無効の可能性もあるんです。(BSEの潜伏期間と検査のタイミングの問題とかのからみです。)

ところが、日本人は「全部検査してなければ危険だ」と言う。いや、それはおかしかろう。感染経路を明確にして、もっとも危ないところをカットせよ、です。

で、もっとはっきり書くと、牛を食べ続けて狂牛病に感染する可能性より、コレステロールがたまって成人病で死ぬリスクのほうがはるかに高い。そんなもの、比較するのもばからしいくらいに、「牛ばっかり食ってる」ほうが危険なんですね。

だからアメリカ産の牛肉を輸入して作られている牛丼を「狂牛病になるから食わない」とか言うのはおかしな話でして、僕はそういうことは全然考えない。それよりコレステロールがたまりすぎて、体の機能がおかしくならないように肉自体を控えます。

で、この狂牛病の話で、いつまでも「いや、どんな危険でも危険は危険なのだからゼロでなけらばならない」とか言う人がいたりするのですが、それは永遠にゼロにはならないのだから、人生をムダ使いしなさんなと言いたい。

で、そういう事を言ってしまう背景というのは、ようは「コンプレックス」なわけです。少なくとも、アメリカン・ビーフに関する論議で「絶対ゼロで!」と言う主張をする人は、たいていの場合は、アメリカ文化に対する自分自身のコンプレックスを自覚してない人が多いんです。

こういう危険をキチンと可能性や確率で考える習慣自体がないから、違和感を感じて、それが不安になってヒステリー状態になっているというそういう事なんです。

だから、そういう人は、まず自分のコンプレックスのタネが、いったい自分の心の中のどのあたりにあるのかをキチンと考えないといけない。

たいていの場合、こういう「不安感」というのは「無知」から生まれています。なので、キチンと勉強すれば、その不安感は消え去るものなのです。

パソコンのウィルス対策でも同じです。確率の低い選択肢を選べば、可能性はグンと低くなる。ただそれだけのことです。

しかし、こういう当たり前の確率論をキチンと考えない人というのは、たとえば牛肉であれば、もともと肉が大好きで、それをやめられないから狂牛病が怖いという人だったりするのですね。

いや、あんた、狂牛病を避けるために、国産牛やオージービーフばっかり食ってても、成人病で早死にするよ。ってことが分かってない。

というか分かりたくないんだろうなぁ。
肉を食うのをやめたほうが、はるかに病気に対するリスクは低くなる。そのほうが圧倒的に健康達成度は高い。
で、月に一二度くらいなら、別に牛丼を食ってもいいよなぁ。ちゃんと緑黄色野菜とかヒジキとか食べてるんなら。物事はバランスですから。

ウィルス対策でも同じで、ウィルス対策ソフトを入れるべきだ!とか言ってる人に限ってアウトルックエクスプレスを普通に使ってるわけです。それをやめたほうが、ウィルス感染リスクは圧倒的に低いのに。

まぁ知らずに使ってる人はしゃーないけどねぇ。

たとえば、卵には、1000個に一個の比率でサルモネラ菌がもれなく(笑)入っています。これはもう常識なんですが、じゃ、それですべての卵をサルモネラ菌検査するかというと、それはやりません。

最近では生卵の販売を夏には控える、たとえ冬でも温泉卵にして販売するという程度の対策が取られているだけです。

これは、たとえ1000個に一個必ず入っているとわかっていても、たとえば、健康な人が食べたのなら実質上命の危険はないとか、お客さんが生卵を食べるまでの温度管理が適正なら菌の繁殖自体を抑えられるとかの「リスク要因」というものを総合的に見たときには発症%がグーンと低くなるからなわけです。

これを、ただなんとなく「いままで大丈夫だったから、これからも大丈夫」というのと、「リスク要因を総合的に判断して、可能性は大きく低い」というのとは、もう、根本的に全然違うことなんですね。

だからやっぱりね、「狂牛病を避けるためにアメリカン・ビーフは食べない」という人が、毎日のようにオージービーフと国産牛肉を食ってるなら、「あんた、コレステロールで死ぬよ」と言うしかないし、「アメリカン・ビーフを避けていても牛肉依存の食生活改善には全然つながってないよ。」と事実を明確につきつけるしかないんですね。

ウィルス対策でもいっしょ。本当は感染経路として一番大きな通り道であるアウトルックエクスプレスやインターネットエクスプローラを使わないというのが、簡単かつもっとも効果が高いんです。確率で言えばね。

でも、まぁ使わないという訳にもいかないしね。そのあたりは個々人でチョイスの幅はあるでしょうけど、IE使うなら、しょうがないからウィルス対策ソフト入れとくとかね、自分でチョイスするしかないわけです。

まぁパソコンなら「パソコンを使わない生活をする」という選択肢もあるよなぁ。それが本当は一番健康なのかも知れない。まぁ現実的にはちょっと無理だけど。でもまぁ、パソコンのデータが消えても「まぁいいか」と言えるくらいに、PCへの依存度を低くした生活態度を取っておきたいですね。それがまず基本だよなぁ。

で、このあたりの「バランス」がわからないというのは、自分が、どこかで「何か」に依存していて、その依存対象がなくなったら自分がパニックを起こしてしまうという恐怖感が背景にあるからなんですね。まずは、そういう「自分の心の真実」を直視するのが、本当に大切なんです。それこそが「幸福」とか「安心感」とかを手に入れる、重要な考え方なわけですから。

このあたり、コンプレックスから自分がヒステリーになってしまっているという事自体を自覚できてない人がけっこういてるので、「ああ、自分を知るというのは、大変な事なんだなぁ」と思います。

本当に幸せになりたいのなら、まず、こういう自分の心の中の「依存体質」をこそ、しっかりと自覚するべきなんですね。そっちが、まず先ですね。肉ばっかり食ってるから狂牛病にうるさいって、そういう事だから。肉食わなきゃ、さして気にならないんだから。ねぇ。

ま、そんなことで。

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とまぁ、こういうことを書いたんですけど、なんでこういう事を書くかというと、僕がアウトルックエクスプレスを使わずにBekyをメーラーとして使っていて、それでウィルス対策としているのを「ウィルス対策ソフトを入れないとダメだ!」とうるさいバカがいるからなんですね。

で、そう言う人に限ってアウトルックエクスプレスを使ってるわけで、リスクマネジメントという概念自体をわかっちゃいないよなぁって話で。

うーん。困ったことだ。