斉藤茂太さん逝かれる。

知らなかったのですが、斉藤茂太さんが亡くなられてたのですね。11月20日だそうです。享年90歳。素晴らしい方を、また一人失いました。

ここで何かご本でも紹介しようと思ったのですが、手元には最適な本がないんですね。何冊かは読ませていただいてますし、読むたびに「深いなぁ」とは思うのですが、なぜか手元に残してないんです。

それと、誠に申し訳ない話なのですが、立ち読みで数十頁を読んで、それで心が癒されて、書籍を買いもせずにすませてしまったこともたびたびあります。

どのご本を読ませていただいても、本当に慈愛に満ちた、人間愛というようなものがあって、どんなにいらだっている時や、ふさぎ込んでいる時でも、標準の、ノーマルな、そういう自分に立ち帰らさせていただいたという気がします。

本当に読む人の事を思って文章を書いておられたんでしょうね。だから立ち読みで読んだだけで、その人柄に触れたような安心感があって、そこで満足して買うまでにいたらなかったという事が多かったように思います。

だから、おそらく、本当に素晴らしい方だったのだろうなと思います。
どの御本を読ませてもらっても、「ああ、深いな、僕の考え、感慨など、まだまだヒヨッコだなぁ」と、自分の視野の狭さを思い知らされることばかりだったように思います。

僕が考えている考え方とまったく逆の事が書いてあったりして、ちょっと反発心を持ちながらも読んでみると「うーん、いや、確かにそれはそうだなぁ。まいった。僕の考えが浅かったんだ。」と思わされるというような事ばかりでした。

90を過ぎて、まだまだお元気で執筆活動を続けておられると思っていたので、「そのうち斉藤先生の御本も、いろいろしっかり読んで、きちんと咀嚼して理解できるようにならねばな。」と思っていたのですが、僕の精神活動より、うんと深いところまで、心を耕して、人の幸せについての英知を残されて、僕が興味を持つより先に天国に旅立たれてしまったという感じです。

お亡くなりになったという報を聞いて、すごく残念な気持ちが湧いてきて、ちょっとここに書きたくなりました。

日本人が「こころ」の問題を考える時に、斉藤茂太さんの数々の膨大な書物は、非常に重要な財産になるような気がします。

心からご冥福をお祈りいたします。