「寝る技術」のまとめ/その(3)

今日は、「寝る技術」の三つ目のポイント

●夜の灯りを電球色にする

について語りますが、これは「夜編」です。で、電球色という言葉でテクニック的に書いてますが、かな〜り「意識」の問題にシフトします。

ポイントの2、「昼のやる気を持続させる」でも書きましたが、ようは早寝早起きをするに際して、一番重要なのは、とどのつまり、


●何故起きるのか?


というモチベーションの問題に行き着くんですね。
で、このモチベーションという奴は、高い人は高いけど、低い人は低い。千差万別な訳です。
かく言う僕だって、全然高くないわけです。


そういうモチベーションの低い人間に「早寝早起きして、刻苦勉励せよ」とか言ってもムダです。やる気がないんだから。やる気がない事に対して「やる気を出せ!」と言っても、本当に無意味です。


じゃ、そういう「やる気のない人間」が、なぁんにもしてないか? というと、これが実は決してそんなことはないわけです。人間、ヒマがあれば、なにかしらグダグダとやっている。そういうものなわけです。


で、「遅寝遅起き」の人間は、なぜそうなるかというと、ようは「どうでもいいような事をウダウダとやり続けて寝ない」って事なんですね。まぁ、たいていはそうなんです。違いますか?
少なくとも僕はそうでした。


結局、夜に、本当にどうでもいい事を、それこそ何時間もやってたりするんですよ。みんな。
自分がそうだったから良く分かるんです。
ほんと、とにかく何かしらムダな事をやってるんです。


これね、正しく自分を捉え直せば分るんですが、ようは一日起きていて、頭が疲れているんですよ。もう、前向きな事とかできなくなっちゃってるんですね。だから、「ああ、もう寝なきゃ」と思いつつ、グダグダとネットを見たり、テレビを見たり、どうでもいいことを延々続けてしまうんです。


で、このくだらない事を延々続けてしまう理由は、大きく2つあって、ひとつは
●気の散る事柄が目に入ってしまって、つい触る。
という事であり、もうひとつが、
●やめなきゃ!と思うからやめられない。
という事なんですね。


で、ここで大事なのが「暗くして雑音をカットする」って事なんですね。まず、暗くしてしまう。明るくしない。
これは、ひとつには体に光を与えない事で、「夜を夜と感じさせる」という意味がありまして、それだけでも重要なんですね。


とにかく暗くする。


夜なのだから暗くする。


そういう事がまず大事なんです。
そうすると、暗いから体が眠気を感じるようになるし、セロトニンの分泌がおさまって、メラトニンが出やすくなる。つまり眠くなる。


という事もあるのですが、それより何より、余分なものが目に入って来ないってことがかなり重要なんですね。
新聞がテーブルに出ていて、テレビ欄が見えたらテレビを付けてしまうでしょ? だから気持ちがそっちへ行っちゃうわけです。


明るくて本棚が見えたら、本を読んでしまったりもしますし、チラシが目に入ったらそのチラシに書いてある商品の事が気になったりします。
これはもう、しょうがない。人間そういう具合に出来てるんだから。


だから、明かりを暗くするんです。よけいな雑音をカットして、そっちに気持ちがいかないようにする。そこがすごく大事なんですね。


で、電球色というのは「暗さ」も大切なんですけど、「色」というのもすごく大事なんですね。電球色の光というのは専門用語で言うと「色温度が低い」という事になります。太陽になぞらえて言うと、夕日の色に近いという事です。明々と元気よく燃えている色ではなくて、気持ちがゆるやかに落ち着いていく色なのです。


逆に蛍光灯の昼白色とか昼光色とかいう色は、太陽が天高く登っている時の色なんですね。色温度が高くて、そういう明るい色の光を見ると、人間は自動的にやる気が出るようにできているのです。


ちょっと観察すればわかるのですが、マンションとか戸建て住宅、あるいはシステムキッチンなど、どんなショールームに出かけても、キッチンのシンク周りには、必ず昼白色や昼光色の「蛍光灯」が使われていて、決して「電球」とか「電球色」の明かりは使われていません。


なんでか? というと、実に単純で、電球色だと「やる気がでなくなる」からなんですね。ようは電球の黄色い光っていうのはリラックスするための色で、すばやい調理や、洗い物、片付けものをすぐに片付けてしまわないといけないキッチンには、とっても不向きなんですね。


逆に言うと、ゆっくりリラックスしなければいけない夜に、昼白色や昼光色の蛍光灯の白い光で照らし出してしまうと、必然的に「やる気」が出てしまって、刺激が強すぎる、というわけなのです。


だから、夜には電球色の光を壁にあてて、その反射光で部屋の明るさを確保する、くらいの「暗さ」がちょうど良いのです。
こうすれば、チラシの派手なキャッチフレーズも目に入りにくくなるし、目に入ったところで、そのことに付いて「ネットで調べてみよう!」とかも思わなくなるのです。


で、ここまでやっても、それでも、ついついネットを見たりして、それがやめられなくて、ちゃんと寝るべき時間に寝れないって人もいてると思います。→私です。(笑)


で、これが
●やめなきゃ!と思うからやめられない。
という事なんですね。


これを、いったいどうやって克服するのか?この解決をするために気付いたのが「なんでもかんでも先送り発想」ということだったのですよ。どういう事か? それは「やる気」と関係します。


上で書いたように、電球色にすると、やる気があまりでなくなります。でも、それでも一度ネットなどをつい見てしまえば、またまた延々見るとか、そういう事になってしまうんですね。いくら環境を電球色にしても、一度脳みそが興奮しはじめたら、実はなかなか止まらなかったりするんです。


で、延々やっていることを、「ああ、やめなきゃやばい」「やめなきゃ、また寝ズレになる」とか怖がってしまうわけです。で、「やめなきゃいけない」と思いつつ「まぁ、このサイトを見終わるまでにしよ」とか、ゲームだったら「あのアイテムが取れたらやめよう」とか、そういう「やめ方」を考えてしまうわけです。


で、それを達成したら、達成感があるものだから「ついでに…」とまた、次の新たな「区切り」を自分で設定して、またまたゲームを続けたりする。これはテレビでも同じだし、本でも同じだし、何でも同じことなんです。


ようは「やめよう」と思うから区切りが必要になってしまうんですね。


ここのところを、完全に発想転換しなくてはいけないのです。


どうするかというと、「もっとたっぷり続けよう!」と考えるべきなのです。どういう事かと言うと、ようは「続きを明日の朝にたっぷりやるぞ!」と考えて、やる気を押さえ込まずに、「もっとやる!」ために、明日の朝に時間をズラすのです。


ようするに「やめる」必要はないわけです。ただ、朝早めに起きて続きをすればいい、というだけの事なのです。


とにかくいったん寝て、続きは起きてすぐにやる、という事に決めてしまえばいいのです。「やめる」必要など、最初からないのです。


ネットなら朝にやった方がトラフィックも少なくてアクセスも早いですし、テレビならHDレコーダーに録画して見れば、余分なところを早送りして見れて効率的なくらいのはずです。本を読むにしても、朝の気持ちいい空気の中で読むほうが楽しく、スッと頭に入るはずなのです。


だからそれを「やめる」のではなくて、「もっと楽しくしよう!」と思って中断すればいいことなんですね。これはけっこう重要な判断でした。


「楽しみの先送り」をすることで、明日の朝起きる事が楽しみにもなるので、早起きを嫌だと思わなくなりますし、効果はかなり高いのであります。


そして、そういう「先送りの発想」の象徴、意識付けのために「電球色の間接照明」というのが、とても役立つのです。何せ、いろんなものが見えにくいですから。「もう明日に回そう!」と考えやすいのであります。


なんでも先送り!さっさと寝ましょ! というのが、ようは一番賢い時間の使い方なのだ、という事なんですね。