「寝る技術」のまとめ/その(4)

という事で、朝、昼、夜の注意点に沿って、上手に寝て早起きになるためのテクニックやポイントについてまとめたわけですが、大方針としての、

▼睡眠不足はローン返済で小さく返す(ドカ寝をしない)

についても、ちょっと書いておきます。
って言うか、これが一番重要なポイントかもしれません。


睡眠不足はローン返済で小さく返す、というのは、ようするに昼間、ちゃんと起きておいて、夜になるまで寝ないでおく、という事なんです。


で、多少寝不足でも、朝はちゃんといつもの時間に起きる。
そうやって、生活のリズムを崩さないことがすごく大事だって事なんですね。
あたりまえと言えば、ものすごく当たり前なんだけれども、じゃあこれを守れているかというと、実は多くの人が守れていない。
かく言う私など、自営業者でフリーランスのライターですから、時間も好き勝手ができるので、睡眠不足の日には、平気でドカ寝をしてしまってます。(ました。)


で、多くの、普通の勤め人の方でも、やっぱり睡眠不足を土日で穴埋めする、なんてことは普通にやってると思うんですね。でも、


●休日にドカ寝するのもドカ寝はドカ寝。


って事なんですよ。


体に曜日感覚などない。


ってことですね。


一日でもドカ寝をしてしまったら、そこからリズムは崩れるんです。で、一度狂い出すと、日曜日とか休日のドカ寝は逆効果にしかなりません。逆効果にしかならないんだけど、一度ドカ寝して睡眠時間のズレ、「寝ズレ」が起きていると、平日こそ夜中まで眠れなくなって、次の休日での寝不足解消以外に熟睡の機会が得られなくなってしまう。だからまたよけいに寝ズレがひどくなる…という悪循環そのものに陥っていくわけです。


だから、たとえ休日であっても、起床時間は変えてはいけないんですね。眠くてもいつもと同じ時間に起きるようにして、その代わり、休日は何事も早く切り上げるのは可能なのだから早めに寝るようにしたほうがいいのです。


で、睡眠不足というのは毎日追いかけてくる借金取りみたいなものですから、日々の仕事の効率が悪くなってもいけませんから、昼間の15分程度のマイクロスリープで少しずつ返済していくのが良いのです。


で、です。この「少しずつ」というのは、いったいどのくらいの期間かというと、恐ろしいことに、


まるまる一生


だと、僕は思っているのです。いやまぁ、本当に早寝早起きが上手にコントロールできるようになれば、そう難しくなく安定したリズムで、生活できるようになるだろうとは思うのですが、でも実は人生そんなに甘くはなくて、ありとあらゆる不測の事態で睡眠が不足してしまう事はあるのです。


だから、その不測の事態に陥ったときに、どう対処するかというコントロール手法こそが大事になってくるんですよ。


たとえば、朝は早めに起きて、公園などで光りを浴びればいい、という話は書きましたけど、この数日を見ればわかりますが、日本には「梅雨」というやっかいなものがあります。さすがに梅雨の時期に朝、公園まで出かけるというのはなかなかできないわけです。いや何より、曇りの日には、でかけたところで光の量が少ないのです。


だから、そういう時期は、やはり多少はコントロールが難しくなるんです。だからそれを、ある程度は「仕方ない」と受け入れて、数週間からひと月くらいのロングスパンで微調整するような腰の据え方もまた、必要になってくるんですね。


このあたりが、まさに「ローン返済」という考え方の根本なんです。実は。


ほんの一週間とかで、「寝ズレ」を退治できるとか、思っちゃいけないんですよ。ひと月、ふた月、あるいは半年、一年。そのくらいの長期展望のもとに、「寝ズレ」を修正していくという、根気の良さが必要になってくるんです。


で、その「根気の良さ」を、いかにして身につけたらいいのか? という事が、僕は全然わからなかったのですが、最近とても良い方法を発見したのです。


それは、「記録をつける」という事です。就寝時間と起床時間をメモして、一覧できるようにしておく。それも、できるだけロングスパンで一覧できるようにするのが良いのです。


で、僕がやってるのは、紙ばさみというか、クリップのついた板で、外でアンケートなんかをする時に使う下敷きみたいなのがありますよね? あれにA4用紙を一枚はさんで、枕元に筆記具と共に置いてあるんです。
で、A4用紙を縦に置いて、真ん中に縦の線を引き、左の上から、一日一行、5mmくらいの幅で就寝時刻と、起床時刻、それから何時間寝たのかを、起きてすぐに記帳してるんです。こうすると、A4用紙一枚で、左側にふた月、右側にふた月分、計4ヶ月もの睡眠時間が記帳できるんです。これがかなり強力なんです。


はじめは単に、自分がどんなに無茶苦茶な睡眠パターンを取っているのかを客観的に把握するという目的だけのためにやりはじめたんですが、この記帳作業そのものが習慣になってきまして、逆に早起きに対する、とても良い動機付けになってきてるんですね。


睡眠時間のズレが起きたときとか、ついドカ寝をしてしまった時でも、それが何日前の睡眠不足からの影響なのかとか、ひと目で概観できるのです。だから、「ローン返済」という事にたいしても、意識的にコントロールすることが可能になってくるんです。


まさに、これこそ「自己コントロール」なんですね。
実際、そこに書かれている時間こそが、自分の睡眠パターンそのものなわけで、そういう具体的事実に働きかければ、実現可能でコントロール可能な範囲での睡眠調整も難しくないわけです。


でも、おそらく、この記帳がなければ、眠たければ寝るというやり方しかできず、必然的に「ドカ寝」ばっかりをやってしまうと言うことになるんですね。


とにかく、睡眠時間のコントロールというのは、長期戦略こそが重要なんです。


だから、こういう記帳のような自己管理手法は、おそろしく大事です。


いま睡眠時間のズレで苦しんでおられる方は、とにかくぜひ、この「記帳」というのをやってみてください。まぁ4ヶ月くらい概観できれば、多少はコントロールが可能になってきますから。ぜひお試しください。おそらく、この「記帳」のテクニックこそが、一番効果が高いと、僕は思います。


寝ズレは恐ろしくやっかいな「問題」である。しかい、技術さえ習得すれば、コントロールできる! とにかく、それを私は言いたいのであります。