アクセルとブレーキ。

今日は書評。

老後がこわい (講談社現代新書)

香山リカの「老後がこわい」。


人に勧められて読んだのですが。
でもって、まぁ書かれていることの二割くらいの「事実の情報」としては、おもしろいかもなぁとは思うのですが。


それより僕は「わー、香山リカ、ものすごいアダルトチルドレンやなぁ!!」と驚いたという方が、感想として大きいのであります。


というのは、香山リカ、私とほぼ同年代でありまして、しかもシングル。年食ってシングルという人間の気持ちは良く分かる。

でもね、年食ってシングルというのは、原因は自分にあるんですよ。もうストレートに言って、それは、


自分が悪い

のです。
だから、「老後がこわい」とか言う前に、「なんで私は年食ってシングルなんだろう?」と自分に問いかけるということをしないといけない。

結婚だけが人生ではない、独身で生きるという道もあるよ、という方もおられましょう。

おられましょうが、それは「決意して進む道ですよ。」と言いたい。たとえばお坊さんが一生独身で行くのだと決めたとかね。そういう一生独身は意味もある。だって自分の意志なんだもん。

問題は、自分の意志としては「結婚したいなぁ」と思いながら、良いパートナーも見つけられずにずっとそのまま、という人の問題なのです。

で、香山リカは困った事に、この本の中で、40過ぎてから子供を産んだ人などを引き合いに出して「シングル女性にとって、この先何が起こるかわからないということも生きるモチベーションになるのだ。」と書いてる。

いや、あのね。それは結婚したい、子供を産みたいってことでしょ? あなたね、そういう自分の内的欲求も正確に言葉にできないままに「老後がこわい」とか書いてる場合と違うやん!相手を探せよ!出会い系でもなんでもええから!どうにでもなるわい!

と、私は言いたくなるわけです。

なんちゅうか、自分のしたい事と、やってる事が、ものすごーくちぐはぐなわけです。まぁ仕事なんだから、老後について書いても、それはそれで別にいいけどさ。その前に本来やるべき事があるんと違うんか? と言いたい。

で、香山リカの場合は「40過ぎて独身と言うことは、自分の内面に何か問題があるんだよね、きっと」と自分を冷静に見るという、当たり前の「反省」をするべきだって事ですな。

ようは「他者を受け入れる」って事ができてないだけなんだよねー。読んでてそれがよーくわかる。アカンなぁ、この人。ほんまに。
見合いサイトとかで「行き遅れ」の女の子をたくさんたくさん見てきたから、ほんとうに良く分かる。香山リカ。明確にアダルトチルドレンであります。

いやまぁ「親子関係から生じた自分の問題を、内面的問題として自覚した人が自分を規定して使う言葉」が「アダルトチルドレン」なのだから、そういう意味では、彼女はまだアダルトチルドレンにすらなってない。で、その気づきがないという事こそが、彼女を不幸にしていると僕は思うのですね。

現代は独身でも問題なく生きて行けてしまうので、だからそれを仕方ないとする風潮もありますが、やっぱり人と人が触れあい、ともに生きるということは、人生においてもっとも重要な「楽しみ」であるし、それを素直に楽しめていないということは、やっぱりどこかに「異常」があるのだと考えた方が健康です。

ところが香山リカは、そういう自分の「異常」にだけは気付きたくないわけですね。で、おそらく、この人は、自分のそういう問題に気付きたくないから「精神科医」をやってるわけですよ。

つまり、無意識のブレーキが強力すぎるので、生きるためにものすごいアクセルを踏まねばならないという状態なわけです。大事なことは無意識に踏んでしまってるブレーキの踏み方をゆるめるだけでいいというのに、そこに気付いてないから精神科医にまでなってしまってるわけです。

自分の心の問題に自分で気付きたくない。誰に指摘もされたくない。だからまず自分が精神科医になって権威に側に入ってしまえば、問題を回りから指摘されることもない。そういう防衛本能だけで生きてる人ですわな。

あああ、なんという不幸!!!

自分の問題に気付きたくないから精神科医をやっている。

たぶんそういう人はすごく多いと思う。だから「心」の問題を取り扱う時に、あんまり気楽にかまえて精神科医の話とか、そのまま聞いたらダメなんだよね。
そういうことより、自分の気持ち良さを大切にするとか、そういう事の方がはるかに重要なんだけど、それはまた別の話なので、項を改めて書きましょう。

とにかく香山リカ、あんたなぁ、老後を怖がってる場合やないで。あなたが怖がってるのは、自分の問題を「問題」と規定する事ですわ。自分がいままさに問題を抱えて居るんだと気付くのが怖いだけ。
で、それに気付きたくないから「老後」とかに話題をスライドさせてるだけよ。

ああ、なんて困ったちゃんなのだろうか、この人は。

ともかく、アダルトチルドレンというのは、「アクセルとブレーキを同時に踏んでるのに、そのムダにどうしても気付けない人」という言い方が、けっこう的を射てると思ったので、それを書きたかったのでありました。

ま、そんなことで。